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「顔が上がると、歩き方が変わる ― 脳梗塞の歩行練習で感じたこと」

脳梗塞の方の歩行練習をしていると、

多くの方が下を見ながら歩いていることに気づきます。

それは決して悪いことではありません。

転倒への恐怖、つまずきへの不安。

それらはとても自然な反応です。

しかし、外を歩ける方と

施設や家の中だけで歩く方には

ある大きな違いがあります。

それが、

**「顔の向き」**です。

外を歩くには、

車・自転車・人の動きを把握する必要があります。

自然と視線は前を向き、顔が上がります。

一方、屋内では

「足元だけ見ていればいい」という安心感が、

身体を下向きに固定してしまうことがあります。

実際、私が1年以上関わっている利用者さんも、

ずっと下を見て歩いていました。

ところが最近、

ある日ふと、顔を上げて歩かれたのです。

特別な声かけをしたわけでもありません。

時間をかけ、安心を積み重ねた結果、

身体が自ら選んだ変化だったのだと思います。

顔が下を向くと、

首に緊張が入り、

身体全体が守りの姿勢になります。

反対に、顔が自然に上がると、

見えない身体の軸が整い、

呼吸も動きも楽になります。

私は「顔を上げてください」と

無理に指示することはしません。

大切なのは、

その人の中で“上がる瞬間”を待つこと。

歩行とは、

単なる足の動きではなく、

その人の不安・安心・意欲が表れるもの。

これからも私は、

その小さな変化を見逃さず、

そっと声をかけていきたいと思います。

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