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寝たきりのポジショニングで「残存機能」を守る——クッションは“全部”置かない方がいい理由

寝たきりの方のケアで、ほぼ必ず出てくるテーマが「ポジショニング」です。

体に負担をかけない姿勢をつくり、痛みや緊張を減らし、褥瘡(床ずれ)を予防する。

とても大切なケアの一つです。

ただ、現場でよく見る“もったいない”場面があります。

それは、手足の左右すべてにクッションが置かれている状態です。

もちろん、こうした対応は「良かれと思って」行われています。

楽にしてあげたい、ズレないようにしてあげたい、床ずれを防ぎたい。

その気持ちは本当に尊い。

でも、ここで視点を一つ追加したいのです。

それが、自立支援=残存機能を守るという考え方です。

1)支える目的は「動きを止めること」ではない

ポジショニングは「固定」ではありません。

本来は、

  • 動かしにくいところを支えて

  • 余計な緊張・負荷を減らし

  • 本人が“動ける範囲”を保つ
    ためのものです。


ところが、動ける側までクッションで埋めてしまうと、

本人の小さな動き(寝返りの準備、足の位置調整、手の置き場の工夫など)が奪われます。

人の体は正直で、

動かさない時間が増えるほど、動けなくなっていきます。

2)「動ける側」を残して、「動きにくい側」を支える

昨日伺った方は、

左側に硬縮があり、右側は比較的動かせる機能が残っていました。

特に右足は、まだよく動く。

この場合の基本はシンプルです。

  • 硬縮や緊張が強い側(動きにくい側)
     → クッションで支えて、負荷を減らす

  • 動かせる側(残存機能がある側)
     → 余白を残して、本人の動きが出るようにする


つまり、クッションは「全部に置く」のではなく、

“必要なところだけ”に置くことがポイントになります。

3)観察がすべて。だからこそ「考え方」を共有したい

どこに支えが必要で、どこに余白が必要か。

これはマニュアルで一律に決められるものではありません。

結局は、

  • 本人がどこを動かせるのか

  • どこで緊張が出るのか

  • どんな姿勢で呼吸が楽になるのか
    を観察しながら調整していくしかない。


現場のヘルパーさんや介護職の方が一番見ています。

でも、そこに「残存機能を守る」という視点がなければ、

良かれと思った支えが、結果的に“動きの芽”を摘んでしまうことがあります。

だから私は、批判ではなく、知識の共有をしたいと思っています。

「支える」「邪魔しない」の線引きを、チームで揃える。

それだけで、利用者さんの未来は変わります。

まとめ:クッションは“優しさ”だけで置かない

ポジショニングは、優しさの技術です。

でも同時に、未来を守る技術でもあります。

  • 支えるべきところは支える

  • 動けるところは動けるようにしておく

  • 固定ではなく、余白を残す


このバランスが、寝たきり予防にもつながっていきます。

もし「この置き方で合っているのかな?」と迷ったら、

遠慮なくご相談ください。

その方の“残っている力”を守るために、一緒に考えます。

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