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「移乗は“力”じゃない。安心を伝える“体の使い方”」

昨日、ご家族様から「もしお時間があれば、ヘルパーさんに移乗(いじょう)のコツを教えてくれませんか?」とご相談をいただきました。

私はマッサージ師であり、介護技術の研修担当ではありません。ですので「何でもできます」と大きなことは言えません。ただ、現場で困っている方がいて、少しでも安全に、少しでもラクにできる“ヒント”があるなら、できる範囲でお役に立ちたい——そう思い「私でよければ」とお返事しました。

介護の現場では、介助する側の緊張や不安が、そのまま相手に伝わります。

不安な気持ちで持ち上げれば、相手も身体がこわばり、余計に重く感じる。

力で何とかしようとすると、介助する側の腰や肩も壊れやすくなる。

だからこそ移乗は、「筋力勝負」ではなく、**体の使い方(バランス)**が大切だと感じています。

私が介護技術のベースとして参考にしてきたのは、岡田慎一郎さんの「古武術介護」、そして川野晃さんの「重さが消える介護技術」などです。YouTubeでも学べる内容が多く、現場のイメージが湧きやすいのが特徴です。

ただし、ここで一番伝えたいのは「誰の理論が正しいか」ではなく、**“練習が必要”**ということです。

介助は、ちょっとした角度・足幅・目線・呼吸で、驚くほど変わります。逆に言えば、自己流のまま急に本番でやると、怖さが出てしまい、それが相手にも伝わってしまいます。

では、私が現場で特に大切だと思っているポイントを、言葉にすると次の3つです。

1)「持ち上げる」より「重さを預けてもらう」

移乗の怖さは、“浮かせる瞬間”に出やすいです。

完全に持ち上げる発想よりも、相手の重さをこちらに「預けてもらう」ようにすると、体は自然にまとまりやすくなります。

2)自分の足元が整うと、相手は安心する

介助の技術以前に、介助する側の足幅・立ち位置・重心が乱れていると、相手は不安になります。

足元が安定している人の誘導は、それだけで相手の身体が落ち着きます。

(逆に、足元が不安定な人ほど、腕力に頼りやすくなります。)

3)声かけは「短く・選択肢を小さく」

「せーの!」の一言でも、相手の身体が動きやすくなることがあります。

長い説明より、短い合図。

そして、相手が怖がっている時ほど「今いけますか?」「少しだけ試しますね」など、選べる余白があると安心につながります。

もちろん、現場には事業所ごとの研修やルールがあります。そこが第一です。

その上で、もし「やり方が分からない」「力んでしまう」「腰が怖い」という方がいるなら、ちょっとしたコツや体の使い方を共有することで、事故を減らせる可能性があると感じています。

私にできることは大きくありません。

ただ、長い年月、体の使い方を観察し続けてきた土台があり、現場で積み上げてきた工夫があります。

もし必要な場面があれば、できる範囲で喜んでお伝えします。

移乗は、技術であり、同時に「安心を伝えるコミュニケーション」でもあります。

介助する側が落ち着けば、相手も落ち着く。

その結果、身体が軽くなる。

そんな“良い連鎖”を、現場に増やしていけたらと思っています。

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