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テレビは「悪」じゃない。寝たきりの方に起きた小さな変化
昨日の訪問で、寝たきりのご利用者さまのお部屋にテレビがついていることに気づきました。
ただ、これまでテレビは“置いてあるだけ”で、ついていない日が多く、室内は静かな空気に包まれていました。
実は僕自身、テレビに対して「情報が多すぎる」「受け身になりやすい」など、どこかネガティブな印象を持っていました。
だからこそ、昨日の出来事は自分の思い込みをそっと揺らしてくれました。
目が向く、集中する。それだけで「生きている」が伝わる
テレビがついていると、ご利用者さまの目線が自然に画面へ向かっています。
発語ははっきり聞き取れないことも多いのですが、それでも「見ている」「追っている」「反応している」ことは確かに伝わってきました。
寝たきりの生活は、どうしても刺激が少なくなりやすい。
その中で、テレビは“外の世界”を運んでくれる窓のような役割を持つことがあります。
目的は「テレビを見ること」ではなく「心のスイッチが入ること」
ここで大切なのは、「テレビが良い/悪い」という結論ではありません。
大切なのは、その人にとって
- ちょっと楽しい
- 気が紛れる
- 懐かしい
- 安心する
- 夢中になれる
そんな“心のスイッチ”が入るきっかけになるかどうか。
同じような状況でも、回復へ向かって努力される方もいれば、意欲が湧きにくく、時間が止まったように感じる日々を過ごされる方もいます。
その差を「性格」や「根性」で片づけたくありません。
環境や刺激の設計ひとつで、心が少し動くことがあるからです。
ご家族・介護者の方へ:刺激は“強さ”より“その人らしさ”
もし、寝たきりの方の生活に何かを足すとしたら、ポイントは「強い刺激」より「その人らしさ」です。
- 好きだった番組のジャンル(演歌・時代劇・旅番組・相撲など)
- 音量や時間帯(疲れやすい方は短時間)
- 画面の位置(首や姿勢に負担がない角度)
- “見る”だけでなく“聴くだけ”でもOK
「反応があるかどうか」を観察しながら、合う形を探していくのが一番安全で、やさしいやり方だと思います。
まとめ:小さな“楽しみ”が、今日の表情を変える
テレビひとつで、表情や顔色が変わることがあります。
それは奇跡でも特別な技術でもなく、「その人の世界が少し広がった」サインなのかもしれません。
寝たきりでも、言葉がうまく出なくても、
心のスイッチは、まだ入る。
僕はそう信じています。
今日も、そのスイッチを一緒に探していきます。
(歩行改善コンサルタント/訪問リハビリマッサージ エンゲルハント)