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恐怖が入ると、体は止まる。坂道で足が出なくなる理由と在宅復帰の考え方

こんにちは。

エンゲルハントの竹下です。

今日は、右麻痺のある女性のご利用者様の施術に伺いました。

その際、旦那様から前回に続いて、坂道の下りについてのお話がありました。

「下り坂になると、思考が止まってしまって、一歩が出ないんです」

この言葉は、在宅復帰や歩行支援を考える上で、とても大切なヒントだと感じました。

下り坂は、身体だけでなく“心”にも負荷がかかる

歩行というと、筋力やバランス、麻痺の程度に目が向きやすいですが、実際にはそれだけではありません。

特に下り坂では、

  • 前に倒れそうな感覚がある

  • 体重移動が怖い

  • 転倒した記憶がよみがえる

  • 一歩を出した瞬間の不安が大きい


こうした要素が重なります。

すると、頭では「進まなきゃ」と思っていても、恐怖が入った瞬間に体が固まり、足が前に出なくなります。

これは、単に気持ちの問題ではなく、恐怖によって身体がロックしてしまう状態とも言えます。

在宅復帰に向けて出てくる現実的な相談

このご利用者様は、現在施設で生活されていますが、今後はマンションでの生活も見据えて、少しずつ外泊や生活練習を進めている段階です。

そこで旦那様から出た相談が、

「車椅子がいいですか。それとも杖歩行がいいですか」

というものでした。

これはとても現実的で、そして大切な視点です。

歩ける可能性があるからといって、すべてを杖歩行にすれば良いとは限りません。

反対に、危ないからといってすべてを車椅子にしてしまえば、歩く力や自信を失ってしまうこともあります。

私が考える現実的なスタート

私としては、まずは車椅子ベースで安全を確保することが大切だと思っています。

その上で、状態や環境を見ながら、少しずつ杖歩行を慣らしていく。

この形が現実的ではないかと感じています。

特に、施設で3〜4年生活されていた方にとって、在宅生活への移行は大きな変化です。

生活環境が変わるだけでなく、

  • 動線が変わる

  • トイレまでの距離が変わる

  • 夜間の不安が増える

  • 介助の受け方が変わる

  • ご本人もご家族も緊張する


こうした変化が一気に押し寄せます。

だからこそ、最初から理想を求めすぎるのではなく、

まずは安全を土台にすること。

そしてその上で、歩ける場面を少しずつ増やすこと。

この順番が大事だと思います。

施設でも在宅でも、100%安心な場所はない

旦那様は以前、施設で夜中に転倒し、ナースコールを押してもなかなか来てもらえなかったことも話してくださいました。

2時間ほど対応がなかったとのことで、その体験はとても大きかったと思います。

施設にいればすべて安心、家にいればすべて危険。

現実は、そんな単純な話ではありません。

施設でも夜間は人手が限られることがあります。

在宅でもすぐに人が来られない場面があります。

つまり、どこで暮らしてもリスクはゼロにはならないのです。

だからこそ必要なのは、

「どちらが絶対安全か」を探すことよりも、

その人がどう生きたいかに合わせて、どう備えるかを考えることだと思います。

自由のある暮らしには、意味がある

私はいつも思います。

家に帰るということには、大きな意味があります。

施設には施設の良さがあります。

見守りや安心感もあります。

でも一方で、生活が管理されやすく、自分のペースを失いやすい面もあります。

家には不安もあります。

転倒のリスクもあります。

それでも、家には自由があります。

  • 自分のタイミングで動ける

  • 自分の空間で過ごせる

  • 自分の人生を自分の感覚で取り戻せる


これは、とても大きな価値です。

安全だけを優先して、人生の自由まで小さくしてしまう。

それは本当にその方にとって幸せなのか。

私はいつも、そこを考えます。

在宅復帰は「安全」と「希望」の両立が大切

在宅復帰に必要なのは、気合いでも根性でもありません。

大切なのは、

  • 車椅子を上手に使う

  • 杖歩行を練習する

  • 怖さの強い場面を把握する

  • 無理をしない

  • ご本人とご家族が安心できる形を作る


こうした現実的な積み重ねです。

私は、在宅で頑張りたい方を応援したいと思っています。

もちろん、転ばないことは大事です。

でもそれ以上に、その人がその人らしく生きられることも大事です。

山あり谷ありでもいい。

少し怖いことがあってもいい。

それでも自分の家で、自分の人生を生きる。

そのための一歩を、これからも一緒に作っていきたいと思います。

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